フランク・ハーバート『デューン 砂漠の異端者』

秋の終わり頃から久しぶりに集中的な書き物をしているが、その反動のように小説や物語が読みたくて、移動や仕事の合間を見ては、昔読んだ小説を読み直したり、好きな作家のまだ読んだことのなかった作品を読んだりしている。

『Heretics of Dune』(邦訳『デューン 砂漠の異端者』)は、昔、翻訳で一度読んで、その時はアイディアは面白いと思ったが、全体としてあまり強い印象は残らなかった。

しかし原書で読み直してみて、デューン・シリーズを一躍有名なものにしたハーバートの精密な描写力と、設定・物語作りの巧みさに改めてうたれた。小説の類としばらく遠ざかっていたこともあるのだろうが、読み始めると本を置くことができず、つい睡眠時間を削って読み通す。

映画の『デューン・砂の惑星』が原作とはまったく「別物」になってしまっていることは、SFファンならよく知るところだ。デューンの物語構成の中で非常に重要な要素であるベネ・ゲセリットの教母たちも、映画の中では、ただおどろおどろしい存在としての印象しか与えなかった。

しかしこの小説では、教母たちが主役的役割を果たし、生き生きと描かれている。

デューン・シリーズが最初に発表された時には、人間と自然環境との関係についての科学的・哲学的考察をベースにした「初のエコロジカルSF」と呼ばれた。

個人的には、血筋(遺伝)・潜在的能力と厳しい訓練の組み合わせによる通常の人間を超えた能力の発現、そして人類と個人の進化という、シリーズの背景を流れるもう一つのテーマが興味を引く。(ベネ・ゲセリットは、これを方法論として存在する母系的集団として設定されている。)

こういうテーマを、SFのストーリーテリングを通して読むことの好きな人にはお勧め。(ただしシリーズの始めの方の作品を読んでなくて、デューンの自然環境や歴史・文化の設定に馴染みがないと、ややとっつきが悪いかもしれない。)

(2006年11月24日)

デューン 砂漠の異端者』(1)
デューン 砂漠の異端者』(2)
デューン 砂漠の異端者』(3)

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