7. 想いは深く

 

 リビングの床でクッションの上に寝そべり、セレスティンは読みかけの本を幾度もめくり直していた。

 幾行かを読んだところで、またルシアスのことが頭に浮かぶ。

 不思議だ、と思った。こんなふうに一人の人間から目をそらすことができないなんて、これまでなかった。

 ましてや自分と関わることに積極的に興味があるようにも見えない相手を一生懸命に追いかけるなんて、普段の自分のやることじゃない。

 でも、彼の存在が自分の中から離れない。

 パーリの崖の上で、自分を見つめ返した彼の瞳を思い出す。

 そう、あの時の彼はまるで無防備に見えた。自分を隠すことを忘れて、ただそこに立ちつくしているように。そして無防備でありながら、海から吹き込む風に包まれた彼の存在は、はるかに大きなもののようにも感じられた。

(あなたは……誰?)

 セレスティンは自分の中で小さくつぶやいた。

 

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