正月、小学生の姪っ子にせがまれて、ハリー・ポッターの映画を見につれていった。
私にとっては、映画は基本的に国際線の飛行機の中で見るもので、自分では、よほど見たいものでなければ映画館には出向かない(年に1、2回)。
ハリー・ポッターの前作も全部、飛行機の中で見た。
姪っ子は「ハリー・ポッターは映画より本の方がいい」と言っていたのだが、この4作目は「面白かった」と満足そうだった。
現代っ子をこういう物語形式の「思想」に触れさせておくのは、悪くないと思った。
映画から見る限り、ポッターのシリーズは、魔術の道程の基本を一応押さえている。
・知性を磨き、意志の力を鍛え、豊かな感情生活を送ることの大切さ
・真に優れた魔術師は、勇気と高潔な人格を備えていること
・魂のイニシエーションには、火の要素と水の要素が関わること(アルケミーの原理)
……など。
ある意味すごいと思うのは、人間の魂の深い部分の暗闇に触れる内容を、エンターテインメントな読み物の一部として「子供向け」の物語の中に含めてしまっている点だ。
個人的に惜しまれるのは、描写の中で、魔法(魔女術、witchcraft)と魔術(magic)が混ぜられて、実際に魔術の道程を歩みたいと思う人に誤解や混乱を招きそうな点ぐらいか。
魔術とは、外の世界を鏡として自己の内面を変容させ、その結果として外の世界に対する制御力を身につける道程。
『ハリー・ポッター』シリーズは、単なる空想物語でもなく、また実際の魔法や魔術の道程の記述でもない。それは魔法と魔術の道程の知識をベースに、著者の豊かな創造力によって書き上げられた物語だ。