『アルス・マギカ』の執筆がよい感じに進んでいる。
私の場合、小説はまず映画の一部を見るような感じで、主要な出来事や会話が展開する。文字通り映画を見るように視覚的イメージを見て、会話を聞いている。
それを見たり聞きながら、とりあえず文章に書きとめる。すると次の断片が来るので、それをまた書きとめる。
断片の時系列はばらばらなことが多い。
それから主要な断片と断片の間を埋めていく作業をする。これも頭で考えて埋めるのではなく、見えてくる視覚的イメージや聞こえてくる会話を書きとめる。
作業の中で手間がかかるのは、自分には絵のように視覚的に見えているものを、読む人にわかるように文章に落とす作業。なので読んだ人から「情景が目の前に浮かぶ」と言われるのは、うれしい。
そしてひたすら記述に努めた文章がエピソードとしてまとまったら、推敲して小説の文章として形を整える。
「アルケミストの庭」あたりまでは、この推敲作業をかなり綿密にやっているが、「火」の章に入ってからは、それ以前の章ほど時間をかけていない。今はとにかく書き進むことが重要と感じるので、8割方のところでいいことにして先に進んでいる。
こうして現在18万文字を超え(文庫本だと2冊弱)、執筆量として想定している長さの半分を超えた。
物語の大きな筋(プロット)は終わりまで整理されているので、後は展開に沿って出来事や会話を書きとめ、文章を整える作業になる。
「火」の章はセレスティンとテロン、「水」の章はセレスティンとエステラの話という、おおまかなアウトラインだけあって、細かな展開は決まっていなかったのだが、キャラクターたちが自由に動いたり言葉を発して、予想していなかった方向に広がっている。
私としても個々のエピソードが次にどう展開されるのか、わからない状態。
ただ「更新は3日1度」と決めて自分に〆切りを与え、それに合わせるために作業を始めると、シーンが展開する。
私の方で「これ必要かな?」と思うようなことも、キャラクターの主張に従って書いておくと、それがずっと先に伏線として生きてくる……ということが続いている。
これが作業を非常に面白いものにしているし、仕事の合間に「2000から3000文字のまとまったエピソードを3日に1度」更新という、遅筆の自分としては考えられないペースで書き進めることを可能にしている。
絵の方もそれなりに進行中。仕事との兼ね合いで、やはり欲しいだけの時間をかけることはできていないが、タロー(タロット)カードを描く作業もゆっくり続いている。